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【コラム】ジュニアの将来のために

  • 2023.12.03

最近ジュニアの問い合わせで多いのはコンクールについてです。
電話で小学校低学年や中学年の子のお母さんから唐突にコンクールについて質問されることが多いです。

コンクールで上位に入れるようにしたいとか、年何回出られるかとか。

こういう問い合わせが来た場合は、お子さんのスキルをお母さまに聞いてみたいのですが、聞くとたいていのお母さまはよくわかっていないことが多いです。

確かにコンクールにたくさん出ている子の中に実力が伴っている人もいますが、ほとんどはツッコミどころ満載です。

そもそもコンクールに出る目的は何なのでしょうか?

バレエをやったらコンクールに出まくるものだと刷り込まれている子も散見されます。
小学校3年生、4年生の子にポワントを履かせて、バリエーションの練習をたくさんやらせたら、いつ基礎の練習ができるのでしょうか?

海外のバレエスクールの同世代の子たちはどのようなカリキュラムでどのような練習をしているのでしょうか?

コンクールばかりにフォーカスしたレッスンカリキュラムを組んでいるバレエ学校なんて皆無です。
徹底的に基礎力を養っています。

確かに海外のバレエ学校と日本のバレエ環境では割ける時間も違えば学校教育の制度も違うので、海外バレエスクールのようにはできないのも現実としてありますが。
だからと言って基礎をないがしろにしていいということにはならないはずです。

特に10歳以下の子たちは骨格も柔らかい上に理解力もまだありません。
楽しいことに夢中になる年頃です。

バレエが好きで夢中になるのは大変結構なことですが、ここに大きな落とし穴があります。

基礎をきちんと教えてあげないと、自己流の悪い癖がどんどんと積み上がってしまうのです。
バレエしている子は足も姿勢も美しくあってほしいですよね。

でも見渡すと特に多いのが扁平足。
膝が伸びなかったりO脚だったり、中には側湾だったり…

正しい身体の使い方を習っていないとこうなりやすいのです。

保護者の方が気をつけてあげないと、子供は好きなことや楽な方へと流れていってしまうものです。

多くのコンクールでは、審査がヴァリエーションだけで、出場者の基礎力よりも踊りのうまさとか器用さで評価します。
最近ではみんなが賞をもらえるコンクールまで出てきました。

バレエの裾野を広げるという意味ではそれなりの意義は見出せるにしても、才能ある子ややる気のある子が間違った方向へ進むことは避けたいと願う次第です。

繰り返し形で覚えこんだような踊り、張り付いたような笑顔、無駄に派手なポーズ…
見た目の派手さに囚われ、ロシアのダンサーばりのアラベスクを練習したり…。

その前に知るべきことややるべきことがあるのです。

バレエの本質的なことやメソッドの重要性などを知らないまま育つと、いつかかならず伸び悩みます。

必ずです。

教師と名乗る人はしっかりとシラバスを理解している必要があると思います。

小学校高学年になり、夢がだんだんと目標に変わってくる時に自分の足りなさに気付ける知識や相応の基礎力がついているようにしてあげたい。

いろいろ気づき始めたり自意識がはっきりするターニングポイントは10歳前後の場合が多いですが、そのタイミングで環境を変えるとか、現状見直しをしっかりすることは将来に有益なことです。

日本のバレエ環境から海外を目指す場合、コンクールで上位を取ることも大きなウエートを占めていることは確かですが、結局海外の先生方が欲しいのは素養のある子、基礎力のある子です。

留学先で苦労する生徒は五万といます。
不本意でもクビになる子もいれば就職できないで帰国する子もたくさんいるのです。

今やるべき大切なことの順位をちゃんと認識して、先を見据えて時間を使わないと夢が夢のまま終わってしまったり、大きく遠回りする羽目にもなります。

私はそういう子を少しでも減らしたいです。

教える側としたらとっても大変なことですが、現代バレエに適応できる自立した人間を育てられるとしたら、それは私のチャレンジでもあります。

パークサイドバレエスタジオで教えてくださっている優秀な先生方と一緒に、一人でも多くの生徒を正しく導いてあげられたらと思っています。

バレエの本質を学ぶ、身体作りをする、技術を身につける。

バレエを一生懸命に習うことは身体も頭もフル回転で使います。

バレエを通じて人間力が高くなるのも必然なのです。

今日はジュニアの子たちに願う私の思いを綴らせてもらいました。
スタジオでは今日も一日熱いレッスンが繰り広げられています。


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